石見冠山(859m)

【前書き】
 石見冠山へは島根県江津市から江の川沿いに国道261号線で上流に向かい、因原から濁川沿いに走ると断魚渓バス停があり、その前にある深篠川キャンプ場から登ることが出来ます。昔、タタラ製鉄が行われていた山です。登ろうと思ったきっかけは、深篠川の渓流沿いを歩ける事。タタラ製鉄の痕跡を見てみたかったこと。それと冬山登山の練習。
 私の山登りは我流ですから、冬山も習ったことはありませんが、25年位前に仕事で青森の雪山を歩いたことがある程度です。その当時は、会社支給のキャラバンシュウズにカンジキを着けて、まだ木綿の下着だったと思います。
 先日、安蔵寺山の積雪量が山頂で1.5m位との報告がありましたから、中国地方の標高1000mを越える山では1人では登攀困難と思い、石見冠山を選択しました。
 因みに中国地方に冠山の名称を持った山は結構多いです。地形図上では石見冠山も冠山と表示されています。

【年月日】’05.2.12(土)
【コースタイム】深篠川キャンプ場(7:30)→空田林道(8:15)→野原谷登山口(8:45)→峠(10:05)
         →山頂(11:50-12:15)→峠(13:00)→野原谷登山口(13:35)→空田林道(13:55)
         →キャンプ場(14:50)
【同行者】単独

【写真と解説】

深篠川キャンプ場
あまり大きなキャンプ場ではありませんが、綺麗に整備されています。

写真の左に水洗トイレがあります。

写真の手前は国道261号線です。結構、運転中の人がトイレを利用しにやってきます。

写真では見えませんが、駐車場とキャンプ場の間に小さな深篠川が流れています。非常に水が澄んでいます。

登山道は深篠川に沿って登っていきます。
蛇渕?
この渓流には、場所によってそれぞれ名前が付けられています。駐車場の案内板に簡単な説明がありますが、良く分かりません。

ここは滑り台みたいに水が細く、岩を削って流れ落ちていきます。

この渓流沿いを歩かずに林道を通って野原谷登山口から登ることも出来ますが、それではこの山の面白み半減だと思います。
蛇渕の上の橋
ここは板が斜めに傾いているし、朝は露で板が濡れて滑るし、ロープは揺れるし、困りました。

別に水深があるわけではありませんが、登山靴を水没させる訳にはいきませんから上手に渡らねばなりません。

帰りには要領が分かりましたが。
橋の上流
橋の上流は川幅も少し広くなり、穏やかな流れです。

川にはごみも無く、水も澄んでいます。

写真の左側の川沿いを歩いていきます。

夏は涼しいと思います。

因みにここの標高は大体200m位です。
白雲滝
このまま沢沿いのコースもあるみたいですが、ここから高巻きしました。

高巻きしたところに鉄穴(かんな)流し跡がありますが、雪で良く分かりませんでした。

鉄穴流しとは、真砂砂鉄と呼ばれる風化して脆くなった花崗岩に含まれる砂鉄を取る方法のようです。

そう言えば、溝があったような。あれの事かな?
コースを塞ぐ倒木
渓流沿いに2箇所、倒木でコースが塞がれている場所がありました。

2箇所とも木が岩盤から滑り落ちていました。写真左上に岩盤が現れています。

山は厚く、土壌に覆われているように見えますが、実際には非常に薄い土の上に植物が生えているのでは?

山の大木の根が地表を這いずり回っているのも土壌の薄さを証明しているのではないかと思いますが。

従って、安易にアイゼンなんか装着して木の根を踏んづけているとしたら、大きな自然破壊をしているのではないかと思いますが。
メタセコイア
空田林道を通過し、野原谷の登山口から暫く登るとメタセコイア(アケボノ杉)が生えています。写真中央奥の木が寄り合わさったような木です。

この付近から雪が徐々に深くなり始めました。標高400m位と思います。

倒木が所々にあって、それを避けるために道を外れると膝まで雪に埋もれたりします。

赤テープがあまり張ってないので、雪道では油断するとコースを外れる可能性があります。
峠(鯛之助タタラ跡地)
ここで標高約500mです。

水場もあり、ちょっとした平地もあって、昔はここでもタタラ製鉄をしていたらしい。金くそが転がっているらしいが、雪で分かりません。

山頂へは写真の左方向へ登って行きますが、直ぐに右手に山頂が見えるようになります。

ここまでは、植林帯で面白くありません。
雪の斜面
右手に樹林の間から山頂を見ながら雪の尾根を登っていきます。

雪は膝まであり、結構疲れます。雪の上に一歩足を進めて体重を掛けると膝まで沈むの繰り返しです。

たまに腰まで沈むとどうしようもありません。

主稜線の尾根手前では、ほとんど腰まで埋もれて、標高差20mを登るのに20分位掛かったような次第。

木の周りの雪が溶けているのは、木の呼吸による体温の所為でしょうか。
山頂手前
今日、石見冠山に登ったのは私1人だけでした。雪に踏み跡は全くありません。

主稜線に出ると雪が締まっていてあまり沈みません。ところが、山頂の手前数mが胸近くまで沈みこんで、前に進めなくなりました。

ストック2本を横にして雪の上に乗るような感じで前に進み、何とか頂上に立つことが出来ました。

登ってる最中の精神的な葛藤が今思うと楽しいです。

写真は私がもがいて登った後です。
山頂
曇ってましたが、空気が澄んでいて結構遠くまで見えます。写真中央は西峰です。863mなので、ここよりも4m高いのですが、雪と時間を考えると西峰まで行くのは無理です。

360°の展望です。因みに西峰の右に見えるのは瑞穂スキー場のハイランドサイドです。大佐山スキー場もこの方角ですが、もっと遠方です。

ところで山頂の雪は締まっていて全然沈みませんでした。
瑞穂スキー場のズーム
瑞穂スキー場は約20年前に一度行きました。山頂付近は緩やかですが、下の方は傾斜が急で初心者には不向きかと思いました。

その後は大佐山スキー場に子供を何回か、連れて行きました。北九州から小郡まで高速、小郡から浜田まで国道9号線経由で約4時間。浜田から大佐山まで約1時間です。

1/20万地形図でこれを大佐山と勘違いしましたが、方角的には、ほとんど同一です。距離感を間違いました。
三瓶山
三瓶山は直ぐに分かりました。少しズームで拡大しています。北東方向です。

奥の高いのが男三瓶、手前が子三瓶でしょう。

夏の三瓶山の記録は下をクリックしてください。

三瓶山
大江高山
大江高山です。この山を知ったきっかけは三瓶山から周囲を見渡したときに、変な姿の山群が見えて、それが大江高山だったのです。

西北西の方向です。地元で世界遺産登録の準備をしている石見銀山跡は大江高山の近くです。

昔は火山活動が活発だったんでしょう。

登れるんなら一度登ってみたいものです。
東の方向
かなり遠くまで見えるのですが、知った山がありません。

こちらの山は落葉樹が多いみたいで地肌が透けて見えています。

写真では良く見えませんが、尾根の木が猪の背中の毛のようで面白いです。尾根筋に茶色のラインが少し見えるでしょう!

【後書き】
 ちょっとした雪山気分を味わうことが出来ました。こんなに素晴らしい景色が見えるのに登山者は私一人なのですから中国地方の山は静かな山歩きが楽しめて好きです。
 雪山はひたすら諦めずに挑戦し続けることでしょうか。今回も登山中、雪で途中何度か諦めかけたのですが、諦めずに良かったです。最近は息が切れない程度のペースで歩くようにしているのですが、今回はかなり息が切れました。
 次の目標はどこにしようか!

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